採用担当者の負担を軽減：AIによる業務効率化のインパクト

現代の採用担当者は、候補者探索、スカウト送信、応募者対応、面接設定、社内調整など、多岐にわたる業務に追われています。特にダイレクトリクルーティングは、企業が主体的に候補者にアプローチできる費用対効果の高い手法である一方で、候補者一人ひとりに合わせたスカウト文作成や地道な送信作業など、運用負荷がかなり大きいというデメリットがあります。これらの業務に忙殺され、十分にスカウトを送りきれない、結局エージェントに頼りきりになる、といった悩みも少なくありません。

AIは、こうした採用業務の運用負荷を劇的に軽減する力を持っています。Pluslab社のScout-Plusは、ダイレクトリクルーティングにおけるスカウト業務の「実行部分」を自動化するツールです。候補者のピックアップ作業やスカウト文生成を自動化することで、膨大にかかっていたダイレクトリクルーティングの工数を95%以上削減することを実現します。

Hire-PlusのようなAIエージェントも、採用戦略における企画・調査部分、特に要件定義や求人票作成を対話型でサポートすることで、これらのプロセスにかかる時間を大幅に圧縮します。AIが定型的な情報整理や文書作成を代行することで、人事担当者や現場担当者は、社内の調整や面談、候補者の見極めといった、AIには代替できない業務にリソースを割くことができるようになります。

生成AIの導入に関する調査では、生成AI活用企業のうち50%が週1～5時間の工数削減、25%が週5時間以上の工数削減を実感しているという結果が出ています。これは一定の効果ですが、「もっと大きな効果があるはず」と感じている担当者もいます。工数削減が限定的になる理由の一つとして、部分的なAI導入では、AIへの入力作業や結果のチェックといった新たな手間が発生し、作業手順が思ったほど減らないことが挙げられています。

この課題を克服し、劇的な工数削減を実現する鍵は、プロセス全体の「完全自動化」を目指すことです。ダイレクトリクルーティングのように、一人当たり数分～数十分の作業でも、それを大量にこなす必要がある業務においては、部分的な効率化では不十分であり、「全部まるっと自動」で回せないと効果を実感しにくいというのが現状です。

実際に「完全に放っておいてもスカウトが送られ続ける」状態が実現すると、人事の工数は劇的に削減され、その余力をより上流の設計や戦略検討、あるいは候補者との対話といった重要な業務に振り向けることができます。エンタープライズ企業ではRPO利用により工数削減メリットを感じにくい場合もありますが、中小企業など人手不足や採用専任担当者がいない企業にとっては、AIによる工数削減は非常に大きな価値となります。

AIは、採用担当者を煩雑な定型業務から解放し、より戦略的で人間的な業務に集中できる環境を提供することで、採用活動全体の効率と質を高める劇的なインパクトをもたらします。