2025/08/29

厳しすぎる要件でも大丈夫!Scout-Plusで「潜在的優秀層」を発掘する戦略

採用市場が激化する昨今、特に専門性の高い職種では「求める要件を満たす人材が見つからない」「スカウトを送ってもなかなか返事が来ない」といった課題に直面している企業は少なくありません。厳しい採用要件を設定せざるを得ない中で、どのようにすれば本当に求める「潜在的優秀層」を発掘し、質の高いマッチングを実現できるのでしょうか。 今回は、とある企業のA社の成功事例を交えながら、ダイレクトリクルーティングツールScout-Plusを活用した、新たな採用戦略「グラデーションフィルタリング」の威力をご紹介します。

従来の検索条件の限界と「応募が来ない」課題


まず、多くの企業が直面している課題から見ていきましょう。特にGCP(Google Cloud Platform)の認定パートナーであるA社のように、Google Cloudに関する深い知識や経験が求められる求人は、一般的な検索方法では難易度が非常に高くなります。

従来のダイレクトリクルーティングでは、例えば「GCP経験5年以上」といった具体的なキーワードや職種名(例:クラウドエンジニア)で候補者を絞り込むことが主流でした。しかし、この方法にはいくつかの限界があります。


「GCP」というキーワードだけで絞り込もうとすると、そもそもヒットする候補者がほとんどいない、という問題が発生します。実際に、A社では、当初「AWS、Google Cloud、GCP、Azure」といったクラウド関連のキーワードをOR条件で囲み、「クラウドエンジニア、AWS、GCP、Azureの経験3年以上」といった厳しすぎる検索条件を設定した結果、対象者がわずか37人しかヒットしなかったそうです。これでは、週に10件スカウトを送れるかどうかがやっとで、ダイレクトリクルーティングにかける労力と得られる成果が見合わないと感じてしまうのも無理はありません。


また、「クラウドエンジニア」という職種に限定してしまうのも、見逃しにつながります。GCPを1年以上しっかりと経験している人でも、トータルで見るとWebアプリケーションエンジニアとして働いているため、「クラウドエンジニア」とは書かない、といったケースは非常に多いからです。プロジェクトの都合で一時的にGCPを担当した人や、エンジニアマネージャーと兼任している人もいるでしょう。このように、職種名だけでは表現しきれない多様なスキルや経験を持つ「潜在的優秀層」を、従来の検索条件では拾いきれないのです。結果として「応募が来ない」だけでなく、「せっかく応募があっても要件と合致せず、選考通過率が低い」というミスマッチの課題も生じていました。



検索を広げ、評価項目で絞る「グラデーションフィルタリング」の威力


こうした課題を解決するためにA社が実践し、Scout-Plusだからこそ実現できたのが「グラデーションフィルタリング」という戦略です。これは、「検索条件を思い切って広げ、その上で評価項目を具体的に設定して絞り込む」というアプローチです。

Scout-Plusでは、まず検索条件で母集団を大幅に増やします。A社の事例では、「クラウドエンジニア」という職種にこだわらず、「GCPの経験が1年以上ある人」という条件で検索をかけたところ、対象者が37人からなんと908人へと、約30倍も増加しました。これによって、今まで見逃していたWebアプリケーションエンジニアや、他の職種でGCP経験を持つ候補者など、幅広い「潜在的優秀層」を発掘できる可能性が広がります。

ここで重要なのが、検索条件を広げただけでは、GCPを使ったマーケターや、Google AnalyticsをBigQueryに繋いだだけの経験を持つ人など、今回の求人にはマッチしない候補者も含まれてしまう、という点です。「GCPと書いてある意味が人によって違う」ため、単にキーワードで広げるだけではミスマッチが生じやすいのです。


そこで威力を発揮するのが、Scout-Plusの「評価項目」です。検索条件が「0か100か」でしか候補者を判別できないのに対し、評価項目は記述内容を具体的にすればするほど絞り込みが効き、抽象的にすればするほど広くなるという、まさに「グラデーション」のように柔軟なフィルタリングが可能です。

この評価項目を適切に設定することで、広げた母集団の中から「本当に求める能力を持つ人材」だけを効率的に見極めることができるようになります。つまり、Scout-Plusは、単なる検索ツールではなく、「育てる」ツールであり、試行錯誤を通じてマッチング精度を高めていくことができるのです。



質の高いマッチングを生む評価項目の具体例とチューニング術


Scout-Plusの評価項目を効果的に活用するためには、求める人物像を具体的なスキルや経験にまで落とし込むことが不可欠です。

A社の場合、当初は「アプリケーション開発やインフラ開発プロジェクトのメンバーとしての4年以上の経験」といった緩い評価項目で試行していました。これは、求人票の記載内容を忠実に評価項目に落とし込んだ結果でしたが、実際にスカウトを送ってみると、アプリケーション寄りの候補者が多く、求めている人材とはややズレが生じました。

そこで、評価項目を大きく改善し、より具体的な要件を定義しました。改善後の評価項目は以下の2つです。


1. Google Cloud Platform(GCP)の使用サービスに関する深い知識と実践経験

    ◦ Compute Engine、Cloud Storage、BigQuery、Cloud Functions、Kubernetes Engineなどの機能について深く理解していること。

    ◦ ユースケースやベストプラクティスを理解し、顧客の要件に合わせて最適なサービスを選定できる経験、またはProfessional Cloud Architectなどの関連資格を有していること。

2. ITインフラ設計スキル

    ◦ ネットワーク(VPC、VPN、インターコネクトなど)、セキュリティ(IM、VPC Service Controls、Cloud Armorなど)、および監視に関する設計・構築・運用ができること。


この2つの評価項目は、それぞれ「GCPの専門知識」と「低レイヤーのインフラ知識」という、クラウドアーキテクトに不可欠な二本柱を明確に定義しています。どちらか一方に偏っている人材ではなく、両方を兼ね備えた人材、つまり「ちゃんと実直にインフラの低レイヤーのことも知っていて、今のクラウドについても詳しい」人材を選抜できるように設計されたのです。これにより、スカウトを送った候補者と求めるペルソナとの類似性が劇的に向上し、ミスマッチがほぼなくなったと評価されています。



評価項目をチューニングする上での重要なポイントは以下の通りです。


評価項目は「2〜3個の必須条件」に絞る: 多すぎる評価項目は、それぞれに与えられる重要度をぼやけさせ、評価を難しくします。本当に必要な要素に絞り込むことで、運用がシンプルになり、候補者の見極めがしやすくなります。

具体的なスキルで定義する: 抽象的な表現ではなく、「深い知識」や「設計構築運用ができる」といった、具体的なスキルや経験で定義することで、求める人物像を明確化し、候補者とのミスマッチを防ぎます。

除外条件も活用する: Scout-Plusでは、明確な除外条件(例:特定の言語能力が必須ではない、特定の資格が不要など)を設定することで、さらに効率的に候補者を絞り込むことができます。


Scout-Plusの「グラデーションフィルタリング」戦略は、厳しすぎる採用要件に悩む企業にとって、まさに突破口となるでしょう。検索条件を広く取り、評価項目で深く絞り込むことで、従来のやり方では見つけられなかった「潜在的優秀層」を発掘し、質の高いマッチングを効率的に実現していくことが可能です。この戦略を自社の採用活動にぜひ取り入れてみてください。